最長片道切符の旅(37日目)
9月11日(土)
小野田で泊まったホテルは無料の朝食が付いていた。私は素泊まりで十分ではあるものの、朝食が有れば嬉しいし、朝から活力が湧いてくる。
山陽本線でお隣の厚狭に着いた。厚狭は私にとって馴染みがある。
小学1年生の頃、学校の先生に駅名クイズを出してみた。そして、その時に出題したのが厚狭である。先生は答えられず、心の中でガッツポーズをしたのをよく覚えている。
厚狭は「あさ」と読む。
そんな厚狭からは美祢線に乗り換える。ここも閑散とした路線で寂れている。
30分で美祢に着いた。この辺りではそこそこ民家も周りにある駅なので窓口はあると思っていたが、今年の5月末で窓口の営業は終了して6月からは無人駅になった。どんどん鉄道利用者が減っていっているのだろう。少子高齢化の波が地方を襲っている。モータリゼーションの波とコロナの影響が追い討ちをかけている。
駅前からは「あんもないと号」というバスが出ていて秋芳洞まで連れて行ってくれる。車内は私と男性の2人だけだった。
20分程バスに揺られて秋芳洞に着いた。前から訪れたかった場所なので心躍る。
土曜日にも関わらず、人が全然いなかったので快適に見て回れた。9時台という時間帯とコロナの影響なのかもしれない。
秋芳洞の中は言葉ではとても言い表せない。実際に見れば理解できるだろう。その雄大さに圧倒された。これが自然の神秘というものだろうか。とにかく素晴らしかった。
鍾乳洞の出口の横にあるお店でハヤシライスとソフトクリームを頂いた。ちょうどテレビでは大リーグの中継をやっていた。大谷翔平が2番ピッチャーで出場していた。それを店のおじさんと一緒に観ていたが、4回途中で降板して2桁勝利&2桁本塁打という快挙はお預けとなった。
だが、メジャーの舞台で二刀流で活躍できる才能と努力には惚れ惚れする。是非ともこれからも新たな歴史を作っていってほしい。
店を出て、再び来た道を戻る。さっきよりも人は増えてはいたが、混雑するほどではなかった。
バス停に辿り着き、「あんもないと号」で駅前へ向かった。今度は車内に乗客は私1人だけだった。
美祢から長門市行きに乗った。相変わらず1両のディーゼルカーだ。
時刻表で次の列車を調べてみると「快速〇〇のはなし」の運行日で1時間待てば乗車できることが分かったので、券売機で指定券を急遽購入した。
列車は2両編成で1号車が「和」、2号車が「洋」をモチーフにしているらしい。私は「和」のほうにした。
1人席を取ったので、席は窓を向いている。
今日は快晴で日本海も青くよく見える。
日本海はこの旅で度々見てきたが、全く飽きなかった。
途中、特牛という駅に停車した。これは全国でも有数の難読駅名として知られている。まず初見では読めない。もし初見で読めたなら宇宙レベルの天才だろう。「こっとい」と読む。
どの場所かは忘れたが、日本海がよく望める場所で列車は少し停車した。太陽も大分傾いて海は煌びやかである。シャンパンゴールドとでも言おうか。
列車は日本海から離れると山陽本線と幡生で合流する。幡生の次の下関で私は下車した。〇〇のはなしは新下関行きなので下関で進行方向を変える。私は手を振り、列車を見送った。
今日で本州は終わりとなり、明日からは最終エリアの九州に上陸する。本州はたしかに長かったが、あっという間に時が過ぎ去った。
旅は終盤に差し掛かる。ゴールまであともう少しだが、「このままもっと旅を続けていたい」という気持ちでいっぱいだった。