最長片道切符の旅(32日目)
9月6日(月)
姫路から山陽本線で英賀保や網干などを通って相生に着いた。駅近くのスーパーでチキンカツと弁当を購入した。どちらも200円を切っている。この旅ではコンビニで買い物をすることが多かったのでこの値段には驚きだ。スーパーは本当に安いんだと改めて実感した。
相生からは赤穂線に入る。ほんの少しの乗車で播州赤穂に着くとこれから先の区間を往く列車は湘南色だった。私の地元路線・草津線でかつてたくさん見られたカラーリングだ。草津線は113系で、ここは115系である。若干形式は違うがほぼ見た目に違いはない。マニアな人以外が見れば同じ車両だと言うだろう。
播州赤穂からは所々太平洋が見えた。
今日は晴れている。
日本海は冬の寒々とした曇り空がよく似合うが、太平洋は抜けるような青空がお似合いだ。
津山線はタラコ色のヨンマルが走っている。こうゆう車両が田舎道を走ると様になる。
金川で津山行きを待っている間、さっきスーパーで買ったやつを食べた。
快速ことぶきの津山行きに乗り込んで津山の少し手前の駅である亀甲(かめのこう)まで行った。
亀甲は駅舎が亀の形をしていてユニークで面白い。
本物の亀だっている。亀が動いて「ピチャピチャ、カタカタ」と音が聴こえる。
ところで、亀甲という地名は無い。なぜ亀甲という名前の駅になったのだろうか。
それは、こうゆうエピソードが関係している。亀甲駅から少し歩いていくと、亀の形をした大きな岩がある。遥か昔、旅人がこの場所で行き倒れ、それを哀れに思った町の人がこの地に埋葬をした。すると、弘法大師の尊像を乗せた大きな岩が地面からせり上がってその形が亀に似ていることから亀甲岩と名づけられた。
亀甲を満喫した後、津山行きのディーゼルカーで津山まで抜け、姫新線に乗り換えて新見を目指した。この辺りの姫新線はおよそ2時間に1本程度だからしっかり時間を確認しておかないと大変なことになる。
車内は1両編成ともあってある程度の人が乗っている。そのうち高校生が半分くらいを占めている。
途中の中国勝山で多くの高校生が降りた。
津山ー新見間の途中駅ではここが1番大きい駅だろう。
2時間弱かかってようやく新見(にいみ)に着いた。新見で特急やくもに乗りたくなったので自由席特急券を買った。特急やくもに使われている車両は唯一の定期国鉄型特急で私が好きな車両である。自然振り子という機能が備っており、カーブで車体を傾けて高速化を図っている。
1時間足らずで倉敷に着いた。まだまだ乗っていたい気持ちでいっぱいだった。名残惜しく特急やくもを見送ると美観地区へ足を運んだ。
何回か来たことはあるが、夜に来たのは初めてである。人もまばらで実に優美だった。
橋の上で写真を撮っている人がいたので撮り方を教えてあげた。それから話が弾み、インスタで友達になった。京大生で私の1コ上らしい。
今は1週間程度自転車で旅をしているとのことだった。私も自転車は好きなので羨ましかった。
何度も言うが、旅をしていると思いがけない出会いがたくさんある。やっぱり旅は素晴らしい。そう感じた夜だった。